うつ病(うつ,鬱,鬱病)は誰にでもあり得えます。症状を理解し適確な診断と治療を。
うつ病は誰にでもかかる可能性がある心の病。正しい知識でまず予防。周囲からもしっかりサポート!
[うつ病]のここカラダ TOP > うつ病コラム > 働き過ぎは心も体も疲れさせる!

体の症状としてもうつ病は現れます

働き者で、会社人間の人ほど気がつきにくい"無気力"や"疲労感"などは、大切な心のサイン。周囲の人も見逃さずに声をかけましょう。

うつのきっかけは人間関係における「喪失体験」と「役割の変化」から生じるエネルギー欠乏状態

うつ病について、よく「心のかぜ」などと表現することがありますが、私はこれらの表現に疑問を感じます。「かぜ」というと薬を飲んだら短時間で治るイメージがありますが、うつ病は「心のかぜ」などという生易しいものではありません。またうつ病は、気持ちだけの問題ではなく、不眠や食欲減退、気分の落ち込みなど、心や体にさまざまな危険な症状が現れるとてもつらい病気です。また逆に、糖尿病、脳血管障害、心筋梗塞、がんなどの病気のときに発症することもよくありますが、病気の陰に隠れて見逃されている場合もよくあります。これだけうつ病についていろいろ情報があるにもかかわらず、やはりまだこの病気の本当の苦しみを理解していない人が多いというのが現実です。
うつをひと言でいうと「心のエネルギーが欠乏している状態」です。そのきっかけは人間関係のことがよくあります。例えば「喪失体験」、つまり誰かと死別したり、恋人と別れたり、また実際に一緒にいても別れているのと同じ関係に思えるような状態が続くことは、うつ病のきっかけとなります。例えば、夫婦間で心のすれ違いを感じ続けていると、「夫(妻)に理解してもらえない」というミクロな喪失感が積み重なり、やがて大きな喪失感になってしまうのです。もう一つは「役割の変化」。例えば会社で昇進して向いていない管理職になり、部下を指導できなかったり、転勤などで新しい環境になじめなかったりすることによるストレスも、うつ病のきっかけとなります。

イメージ
<主なうつ病の症状>
  1. 気持ちの落ち込み
  2. 興味や喜びがわかない
  3. 食欲の減退や増加
  4. 不眠や睡眠過多
  5. 焦燥感や運動の抑止
  6. 疲労と気力の減退
  7. 強い罪責感
  8. 思考力、集中力の欠如
  9. 自殺企図

働きすぎを見直し、自分の気持ちを誰かに話すことによって気持ちの整理と感情の発散をする

イメージ

うつ病は20代後半から30代前半に最も多く発症します。この世代は業の中で労働時間も長く疲れている上、上司に叱られたり、取引先とうまくいかなかったりなど、人間関係のストレスも多いのが影響しています。
最近の日本の企業は成果主義や能力主義になって、年俸や査定を気にするあまり、ますます労働時間が長くなり、結果を出さなければいけないというプレッシャーと常に向かい合わせで働いています。前にも述べたように、うつはエネルギーの欠乏した状態ですから、エネルギーがなくならない程度に働けばいいわけですが、それは社会全体をみるとかなり恵まれた労働条件下でしか実現しません。またうつになったからといって、ゆっくり仕事を休んで休息をとっていたら、自分の居場所がなくなってしまうという強い焦燥感におそわれてしまいます。
もしこんな状態の時に、相談できる家族や友人がいて、自分の気持ちを話すことができればいいのですが、そんな人が一人もいない場合にアルコールで気分を紛らわすことが続くと、アルコールは依存性が高く危険です。また人に相談せずに一人で悩みを抱えてしまうことで、気持ちの整理や感情の発散ができず、突発的に死を選択してしまうことがあります。ましてアルコールに依存的になっていると、歯止めが効かなくなり、衝動的な行動をとることが多いのです。 それではもし夫や父親がうつ病になった時、家族はどのようにすればいいのかを考えると、まずは本人自身の働き過ぎを見直す必要があります。いくら家族が支えになるといっても、本人が家庭に戻ってこなければ意味がありません。とにかく仕事中心、会社中心の生活から、ゆっくり休息のとれる時間を多くする必要があります。「家庭サービス」という言葉が物語っているように、男性の中には家庭もサービスを提供しなければならない場所と考えている人が多いので、せめて家庭ぐらいは、ゆっくりとくつろいで、夫婦や親子の会話を楽しむような環境にしておきたいですね。またうつ病はすぐに治る病気ではありませんから、焦らずにうまく付き合っていけるように、家族や職場の人々の理解も必要です。

なかなか本当の苦しみが理解されていない…
<うつ病についてのポイント>
  1. うつは気持ちの問題だけではなく体の症状としても現れる
  2. 心のエネルギーが欠乏したうつ病状態が続く
  3. 「喪失感」や「役割の変化」という人間関係の問題がうつ病のきっかけになりやすい
  4. 働き過ぎを見直す
  5. 自分の気持ちを整理して、感情を発散できる相談相手をつくる
  6. うつ病は「休め」のサイン。焦らずにゆっくり病気と付き合う
  7. 家族や職場の人々の理解が重要なポイント

【監修】 慶應義塾大学教授 大野 裕(おおの・ゆたか)

構成・文/宇山恵子

前のコラムへ
次のコラムへ
この記事に関連する診療科目
病院を探すときは以下の科目を選択してください。
 精神科 神経科 心療内科
この記事の関連コンテンツ
健康チェックテスト  あなたのうつ病度チェック
「うつ病に役立つコラム」トップへもどる
[うつ病]のここカラダ TOP > うつ病コラム > 働き過ぎは心も体も疲れさせる!
ページの先頭へ
体の症状としてもうつ病は現れます